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どんな食材か
オリーブオイルはオリーブの実の果肉から搾った油です。種ではなく果肉から得る点が多くの植物油と違い、そのため熱を加えたり化学溶剤を使ったりせず、押して搾るだけで油が出ます。エクストラバージンは、そうして物理的にだけ搾った一番搾りのうち、酸度と官能の基準を通ったものです。精製オリーブオイルは欠点のある油を精製して作ります。発煙点はそれほど高くありませんが、日常の炒め物には十分です。
学名 Olea europaea
オリーブ油は食品のなかで ランダム化比較試験で心血管アウトカムを見た数少ない食材 です。多くの「体によい食品」は観察研究までで止まります。
スペインのPREDIMED研究は、心血管リスクの高い7,447人を三つの食事に無作為に割り付け、中央値4.8年追跡しました。エクストラバージンオリーブ油を無償で供給した地中海食群で、心筋梗塞・脳卒中・心血管死が有意に少なくなりました。
ただし必ず添えるべき但し書きがあります。比較の相手は「低脂肪食」でした。 他の植物油ではありません。この区別がこの記事全体を貫きます。
主な効果
- 強い根拠
心血管イベントが31%低い — 低脂肪食と比べて
[1]PREDIMED は55〜80歳、心血管リスクは高いがまだ疾患のない7,447人を無作為に三群へ割り付けました。①エクストラバージンオリーブ油を供給した地中海食 ②ナッツを供給した地中海食 ③脂肪を減らす助言だけを受けた対照群。
中央値4.8年後、主要評価項目(心筋梗塞・脳卒中・心血管死)はオリーブ油群3.8%、ナッツ群3.4%、対照群4.4%。ハザード比は オリーブ油群0.69(95% CI 0.53〜0.91)、ナッツ群0.72(0.54〜0.95)でした。
この試験には訂正の経緯があります。 2013年の発表後、一部の施設で無作為化が守られていなかったことが判明して論文は撤回され、問題のあった1,588人を除いて再解析した結果が2018年に再掲されました。上の数字はその再解析であり、除外の前後で結果は同様でした。
そして 対照群は「脂肪を減らすよう助言された人たち」 です。オリーブ油が他の油より優れているという試験ではありません。
- 中程度の根拠
バターやマーガリンをオリーブ油に替えた側で死亡率が低かった
[2]米国成人を28年追跡したコホート研究です。36,856人の死亡を解析しています。
オリーブ油の摂取量が最も多い群(1日7g以上、大さじ半分ほど)は、ほとんどとらない群に比べ総死亡のハザード比が 0.81(95% CI 0.78〜0.84)。心血管死0.81、がん死0.83、神経変性疾患死0.71でした。
置き換え解析がこの研究の核心です。 マーガリン・バター・マヨネーズ・乳脂肪を1日10gオリーブ油に替えると、総死亡と原因別死亡のリスクが8〜34%低くなりました。
ところが 他の植物油全体と比べたときには有意差がありませんでした。 著者ら自身がそう記しています。
つまり根拠が言っているのは「オリーブ油が特別だ」ではなく 「動物性脂肪を植物油に替えるとよい」 であり、オリーブ油はその席で最もよく研究された選択肢だということです。
- 栄養データ
ビタミンE 14.4mg、ビタミンK 60.2µg — ただし100g基準
オリーブ油100gに ビタミンEが14.4mg、ビタミンKが60.2µg入っています。成人のビタミンE推奨量が15mgなので、ほぼ1日分です。
ところが100gは大さじ約7杯、884kcal。実際に使う大さじ1杯(14g)ならビタミンEは2mg、1日推奨量の13%です。
脂肪の組成は一価不飽和(オレイン酸)が73gで大半を占め、飽和脂肪13.8g、多価不飽和10.5gです。
エクストラバージンには精製油にないポリフェノール(ヒドロキシチロソール、オレオカンタール)が含まれます。搾りたてのオリーブ油を飲み込んだとき喉がぴりっとするのがオレオカンタールです。EFSAはオリーブ油ポリフェノールがLDLの酸化を防ぐという表示を認めていますが、基準は 20gあたり5mg以上 で、製品ごとのばらつきが大きい。
上手な食べ方
- 置き換えに使ってください。 バターやマーガリンの席にオリーブ油を入れるのが、根拠の指す使い方です。今使っている油の上に足すことではありません。
- エクストラバージンの発煙点はおよそ190〜210℃。 一般に言われるより高く、炒め物やオーブン調理に無理はありません。ただし揚げ物のように高温を長く保つ調理には精製油のほうが向きます。
- ポリフェノールは熱と光に弱い。 生で使うときに最も多く残ります。サラダと仕上げにエクストラバージン、加熱用に通常のオリーブ油と分けるのが合理的です。
- 濃い色の瓶入りを選び、栓を閉めて涼しい場所へ。 透明な瓶は売り場の照明だけでも酸化が進みます。
- 開封後は2〜3か月以内に 使い切るのがよい。古い油のにおいがしたら捨ててください。
評価の読み方
効果ごとに、ヒトを対象とした研究がどこまで裏づけているかを4段階で示します。同じ食材でも項目によって評価は変わります。
- 栄養データ
- 食品成分表や保健機関の資料で確認できる事実です。臨床研究で検証する効能とは性格が異なります。
- 強い根拠
- 複数のランダム化比較試験やメタ分析で一貫して確認されています。
- 中程度の根拠
- ヒト研究はありますが、効果が小さいか結果が割れています。
- 初期の研究
- 細胞・動物研究、または小規模な予備研究の段階です。
- 確認されていない
- よく言われますが、ヒトを対象とした研究では確認されていません。
注意したいこと
- 大さじ1杯で124kcalです。 「体によい」からと余分に回しかければ、増えるのはカロリーだけです。上の研究が見た量も1日大さじ1杯前後でした。
- 他の植物油より優れているという根拠はありません。 キャノーラ油やひまわり油と比べた解析では有意差が出ていません。
- 「オリーブ油で痩せる」「空腹時に飲むとよい」 といった主張には人での根拠がありません。
- エクストラバージン表示は品質の幅が広い。 酸度もポリフェノール量も製品ごとに違い、表示だけではわかりません。
- PREDIMEDは 心血管リスクの高いスペインの成人 を見た試験です。健康な若い人に同じ効果の大きさがあるとは言えません。
この食材でつくる料理
- じゃがいもとケールのスープ35 分
- ゆで大豆とトマトのサラダ25 分
- アスパラガスとえびの炒め物15 分
- すいかとカッテージチーズのサラダ10 分
- サフランチキンライス40 分
- 七面鳥とパプリカの炒めもの20 分
- うずら卵とほうれん草のサラダ15 分
- ムール貝のトマト煮25 分
- 芽キャベツとくるみのロースト30 分
- アーティチョークとひよこ豆のサラダ20 分
- マッシュルームのにんにく炒め15 分
- タコとじゃがいものサラダ60 分
- ミントヨーグルトソース10 分
- オリーブとトマトのサラダ10 分
- マンゴーとアボカドのサラダ15 分
- クレソンとポーチドエッグのサラダ15 分
- グリーンピースと卵のスクランブル12 分
- 黒豆とグリーンピースのサラダ15 分
- オクラとトマトの卵炒め12 分
- キクイモのオーブン焼き35 分
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出典
栄養の数値と健康に関する記述が依拠しているデータベースと保健機関です。
- 1Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet Supplemented with Extra-Virgin Olive Oil or Nuts臨床試験Estruch R, et al. N Engl J Med 2018PMID 29897866
- 2Consumption of Olive Oil and Risk of Total and Cause-Specific Mortality Among U.S. Adults系統的レビューGuasch-Ferré M, et al. J Am Coll Cardiol 2022PMID 35027106
- 3USDA FoodData Central食品成分データベース
- 4NIH Office of Dietary Supplements保健機関
- 5European Food Safety Authority (EFSA)保健機関
- 6PubMed学術文献



