ホーム
IngredientHealth Benefits

ヒラタケ

ヒラタケの効能:二つの二重盲検試験が、どちらも主要評価項目を外しました

このきのこを試した二重盲検試験が二つあります。2022年の試験は食後血糖を主要評価項目に置き、動きませんでした。2026年の試験はLDLコレステロールを置き、やはり動きませんでした。動いたのはどちらも副次的な項目です。

Ingredient Health Benefits 編集部

公開 2026年9月30日更新 2026年10月12日9分で読めます

臨床専門家による個別の監修は受けていません。編集方針

ヒラタケ
目次

どんな食材か

ひらたけは木に付いて育つきのこで、かさが片側に寄って扇やかきの殻のような形をしています。英語名にかきが入っているのはその形のためです。植物ではなく菌類なので光合成をせず、枯れた木を分解しながら育ちます。韓国で最もよく栽培されるきのこの一つです。繊維に沿って手で裂ける性質があるため、包丁より手で裂いて使うことが多く、水分が多いので強火で手早く炒めると水が出にくくなります。

学名 Pleurotus ostreatus

ヒラタケは100gで33kcal、β-グルカンの多いきのこです。ですからコレステロールや血糖の話がよくつきます。

その話を検証した試験が二つあります。どちらも二重盲検で、どちらも主要評価項目を外しました。

2022年《European Journal of Nutrition》。 耐糖能異常のある22人に、乾燥ヒラタケ粉20g(β-グルカン8.1g)を一食に混ぜて食べさせました。

  • 主要評価項目は食後血糖の曲線下面積でした。差がありませんでした
  • インスリン、中性脂肪、GIP、グレリンも差がありませんでした
  • 動いたのはGLP-1が17%高かったこと(p=0.001)、遊離脂肪酸が14%低かったこと(p=0.026)、空腹感が22%低かったこと(p=0.031)です

2026年《Nutrition & Metabolism》。 LDLが116〜190mg/dLの成人46人に、ヒラタケ粉8.4g(β-グルカン3g)入りの飲料を4週間毎日飲ませました。

  • 主要評価項目はLDLコレステロールでした。差がありませんでした
  • 総コレステロール、HDL、中性脂肪、アポリポ蛋白A1とB、遺伝子発現——すべて差がありませんでした(p≥0.05)

どちらも誠実に設計され、どちらも狙ったものを当てられませんでした。 この項目はその事実から始まります。

主な効果

  1. 初期の研究

    食後のGLP-1と空腹感は動きました——血糖は動きませんでした

    2022年《European Journal of Nutrition》。

    • 耐糖能異常のある成人22人、二重盲検無作為クロスオーバー
    • 一食にオーブンで乾かしたヒラタケ粉20g(β-グルカン8.1g)を混ぜたものと、混ぜないものをそれぞれ
    • 食事の前と後4時間にわたり繰り返し採血
    • 主要評価項目は血糖の曲線下面積
    指標結果
    血糖AUC(主要評価項目)差なし
    インスリン差なし
    中性脂肪差なし
    GIP差なし
    グレリン差なし
    GLP-1 AUC17%高い(p=0.001)
    遊離脂肪酸AUC14%低い(p=0.026)
    空腹感AUC22%低い(p=0.031)
    満腹感・充満感・食べたい気持ち差なし

    主要評価項目から読む必要があります。 この試験が前もって定めて狙ったのは食後血糖であり、それが動きませんでした。インスリンも中性脂肪も同じです。

    では動いたものは何か。 GLP-1です。腸から出るホルモンで、インスリン分泌を助け、胃の排出を遅らせます。いまの肥満・糖尿病の薬がまねている、まさにそのホルモンです。

    ただしGLP-1が17%上がったのに血糖が動かなかったという点を素通りしてはいけません。 ホルモンの値は中間の指標で、知りたいのは血糖です。中間が動いて終点が動かないなら、その動きが意味のある大きさではなかったという読み方ができます。

    空腹感22%はどう見るか。 視覚アナログスケールで測った主観であり、一緒に測った満腹感・充満感・食べたい気持ちの三つは差がありませんでした。四つのうち一つだけが動いたなら、偶然の可能性を切り離せません。 そしてこの試験は実際に食べた量を測っていません。 空腹を感じにくいことと、食べる量が減ることは別の主張です。

    用量も見てください。 乾燥粉20gは生のきのこで約200gに相当します。 1パックより多い量を、しかも一食で。

    正直な結論です。

    • 一食にβ-グルカンを多く入れれば食後のGLP-1が上がり空腹感が下がりうる——この試験が支えるのはここまでです
    • 血糖は動きませんでした。 主要評価項目でした
    • 一食だけの急性試験であり、この変化が続くかは確認されていません
    • 等級を「初期の研究」に置きます
    [1]
  2. 栄養データ

    100gで33kcal、ナイアシン4.96mg——そしてビタミンDの話

    生のヒラタケ100gあたり:

    • 熱量33kcal、炭水化物6.09g、食物繊維2.3g、脂質0.41g
    • タンパク質3.31g——野菜としては高いほう
    • ナイアシン(B3)4.96mg、リボフラビン(B2)0.349mg、チアミン(B1)0.125mg
    • カリウム420mg、リン120mg、鉄1.33mg、銅0.244mg、亜鉛0.77mg
    • セレン2.6µg、葉酸38µg、ナトリウム18mg
    • ビタミンD 0.7µg(29IU)

    熱量の低さがこのきのこのいちばん実用的な特徴です。 100gで33kcalなら、炒めものや鍋にたっぷり入れても負担になりません。肉を半分に減らしてそこをきのこで埋めるやり方は、熱量の計算で実際に効いてきます。

    ナイアシン4.96mgは1日基準値の31%です。 きのこ類は全般にビタミンB群が良く、ヒラタケもそうです。リボフラビン0.349mgも27%になります。

    ビタミンDは別に説明が要ります。

    きのこがビタミンDの供給源だという話をよく聞きます。上の数字は0.7µgで、1日基準値の4%にすぎません。 栽培きのこはたいてい光のない室内で育つからです。

    きのこは紫外線を浴びてはじめてビタミンDを作ります。 人の皮膚が日光で作るのと同じ原理で、きのこが作るのはD2(エルゴカルシフェロール)です。天日で干したり紫外線を当てたきのこは、この値が大きく上がります。 市販品で処理をしたものには表示があります。

    ただしD2が人の体でD3ほど効率よく働くかには議論があります。 ビタミンDをきのこだけで満たす計画はおすすめしません。

    選び方と保存。 かさがしっとりして少し厚みのあるものがよい。かさの縁が上に反り返っていたら時間がたっています。 表面がぬるついたり、茶色い斑点が広がったものは避けてください。

    洗わないでください。 きのこは水を吸うので、洗うと炒めるときに水が出て、炒めものではなく煮ものになります。濡らしたキッチンペーパーで表面を拭う程度で十分です。

    紙袋に入れて冷蔵してください。 ビニール袋のままだと湿気がこもってすぐぬめります。

  3. 確認されていない

    コレステロールを下げるという主張——いちばんよく設計された試験は何も見つけませんでした

    ヒラタケにいちばん多くつく主張がコレステロールです。 β-グルカンが多いのだから、オーツ麦のようにLDLを下げるだろうという期待です。

    その期待を正面から試した研究が2026年に出ました。

    2026年《Nutrition & Metabolism》。

    • LDLが116〜190mg/dLの成人46人(女性37人、男性9人)
    • 二重盲検無作為対照、4週間
    • ヒラタケ粉8.4g(β-グルカン3g)入りの飲料、またはきのこの入らない飲料を毎日
    • 主要評価項目はLDLコレステロール

    結果です。

    指標結果
    LDLコレステロール(主要評価項目)変化なし
    総コレステロール・HDL・中性脂肪変化なし
    アポリポ蛋白A1・B変化なし
    コレステロール代謝の遺伝子発現変化なし
    コレステロール合成・胆汁酸合成の指標変化なし

    抄録の言い方をそのまま移せば「すべてp≥0.05」です。

    ではこの論文は結論で何を言ったのか。 性別で補正した線形モデルで、コレステロール吸収の指標が女性で下がったと書きました(p<0.05)。

    これをどう読むかが大事です。 論文みずからこの解析を「事後解析」と呼んでいます。前もって決めたのではなく、結果を見たあとで分けてみたということです。事後解析は仮説を作るのに使い、結論を出すのには使いません。

    そして吸収の指標は血中コレステロールではありません。 中間の指標が動いて、肝心のLDLは動きませんでした。

    ところが反対の結果を報告した試験もあります。

    2022年《International Journal of Medicinal Mushrooms》。 メキシコの農村部の住民30人を二群に分け3か月を過ごしました。一方は健康食のみ、もう一方は健康食にヒラタケを週1kg(250gずつ4回)加えました。内臓脂肪と高脂血症が減ったと報告しています。

    二つを並べて見てください。

    2022年メキシコ2026年ドイツ
    人数30人46人
    盲検なし二重盲検
    対照健康食のみきのこ抜きの同じ飲料
    結果内臓脂肪・脂質が改善主要評価項目が無効

    盲検がない試験で両群とも「健康食」の介入を受けていたなら、きのこも受けた側のほうが残りをより熱心に守った可能性を切り離せません。

    正直な結論です。

    • ヒラタケがコレステロールを下げるという主張を、いちばんよく設計された試験は支持しません
    • 効果がないと証明されたわけではありません。 46人、4週間は小さい試験です
    • ただしいまある最良の根拠は無効です。 等級を「確認されていない」に置きます
    • β-グルカンでLDLを下げたいなら、オーツ麦と大麦のほうが根拠がはるかに厚い
    [2][3]

上手な食べ方

  • 洗わないでください。 濡らしたキッチンペーパーで拭えば十分です。洗うと水を吸って炒めものが煮ものになります。
  • 手で繊維に沿って裂いてください。 包丁で切ると断面がつぶれて食感が落ちます。
  • 強火で短く炒めてください。弱火で長く置くと水が出ます。
  • 肉を減らしてそこを埋めるのに使ってください。 100gで33kcalなので計算に実際の差が出ます。
  • 1日基準値の31%にあたるナイアシンが入っています。
  • ビタミンDを期待するなら紫外線処理の表示を確認してください。 ふつうの栽培きのこは100gで0.7µgです。
  • 紙袋に入れて冷蔵してください。ビニールだと湿気がこもってすぐぬめります。
  • かさの縁が反り返ったものは古いものです。

評価の読み方

効果ごとに、ヒトを対象とした研究がどこまで裏づけているかを4段階で示します。同じ食材でも項目によって評価は変わります。

栄養データ
食品成分表や保健機関の資料で確認できる事実です。臨床研究で検証する効能とは性格が異なります。
強い根拠
複数のランダム化比較試験やメタ分析で一貫して確認されています。
中程度の根拠
ヒト研究はありますが、効果が小さいか結果が割れています。
初期の研究
細胞・動物研究、または小規模な予備研究の段階です。
確認されていない
よく言われますが、ヒトを対象とした研究では確認されていません。

確認されていない主張

注意したいこと

  • 食後血糖を見た2022年の試験の主要評価項目は動きませんでした。 動いたのはGLP-1や空腹感などの副次的な項目です。
  • その試験が使った乾燥粉20gは生のきのこ約200gに相当し、一食だけの急性試験です。
  • LDLを見た2026年の二重盲検試験はすべての脂質項目で無効でした。女性の吸収指標だけが事後解析で動きました。
  • きのこを生でたくさん食べないでください。 食用きのこも加熱が原則です。
  • 野生のきのこを採って食べないでください。 ヒラタケに似た毒きのこがあります。
  • きのこアレルギーが報告されています。 初めて食べて口の周りが腫れたり蕁麻疹が出たら中止してください。
  • ビタミンDの供給源にするには値が低すぎます。 紫外線処理品でなければ100gで0.7µgです。

栄養成分

生のヒラタケ100gあたりです。1パックがふつう150g前後で、炒めものや鍋に一度入れる量が80gほどです。下の試験が使ったのは生のきのこではなく、乾かして挽いた粉です。

炭水化物
6.09 g2%
脂質
0.41 g<1%
ビタミンB3
4.96 mg31%
ビタミンB2
0.349 mg27%
ビタミンB1
0.125 mg10%
カリウム
420 mg9%
リン
120 mg10%
鉄
1.33 mg7%
銅
0.244 mg27%
亜鉛
0.77 mg7%
セレン
2.6 µg5%
葉酸
38 µg9%
ビタミンD
0.7 µg3%

%は米国FDAの1日基準値(成人・4歳以上)に対する割合です。各国の食事摂取基準は性別・年齢で異なります。

ほかの食材と一緒に計算してみる →

主な栄養素

お悩み別の根拠

この食材でつくる料理

出典

栄養の数値と健康に関する記述が依拠しているデータベースと保健機関です。

  1. 1Fortifying a meal with oyster mushroom powder beneficially affects postprandial glucagon-like peptide-1, non-esterified free fatty acids and hunger sensation in adults with impaired glucose tolerance: a double-blind randomized controlled crossover trial臨床試験Dicks L, et al. European Journal of Nutrition 2022PMID 34505919
  2. 2Effects of regular consumption of a beta-glucan-rich oyster mushroom powder on cholesterol metabolism in adults with moderately elevated LDL-cholesterol concentrations: a double-blind randomized controlled trial臨床試験Johnen J, et al. Nutrition & Metabolism 2026PMID 42071226
  3. 3Dietary Supplementation with Oyster Culinary-Medicinal Mushroom, Pleurotus ostreatus (Agaricomycetes), Reduces Visceral Fat and Hyperlipidemia in Inhabitants of a Rural Community in Mexico臨床試験Gonzalez-Bonilla A, et al. International Journal of Medicinal Mushrooms 2022PMID 36004709
  4. 4USDA FoodData Central食品成分データベース
  5. 5PubMed学術文献

あわせて読みたい食材

マッシュルーム

野菜

初期の研究

マッシュルーム

USDAの記録で普通のマッシュルームはビタミンD 0.2µg、紫外線を当てたものは26.2µg。ところが無作為化試験6編をまとめると血中濃度は有意に上がりませんでした(p=0.12)。基礎値が低かった欧州3編でのみ上がりました。

コーヒー

お茶・飲みもの

中程度の根拠

コーヒー

2型糖尿病と肝疾患のリスクが低いという観察は一貫しています。興味深いのは、デカフェでもほぼ同じ結果が出ることです。

キクイモ

野菜

初期の研究

キクイモ

45人を三群に分けた二重盲検試験で、ビフィズス菌が21日で1.2 log10増えました。ただしその効果を運ぶはずの短鎖脂肪酸は変わらず、おならは有意に増えました。

ご意見を送る