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どんな食材か
コーヒーはアカネ科のコーヒーノキの果実の中にある種子を焙煎し、挽いて抽出した飲み物です。エチオピアが原産です。果実は赤く熟してさくらんぼのように見えることからコーヒーチェリーと呼ばれ、その中の種が生豆です。焙煎前は緑色で香りもほとんどありませんが、焙煎中に糖とアミノ酸が反応して数百種の香り成分が生まれます。品種は大きくアラビカとロブスタに分かれ、ロブスタのほうがカフェインが多く苦みも強いです。
学名 Coffea arabica
コーヒーは栄養素を得るために飲む飲み物ではありません。1杯でエネルギー2kcal、ミネラルもごくわずかです。
それでもコーヒーが健康研究に繰り返し登場する理由は、飲む人があまりに多く、大規模コホートでよく見えるから です。数十万人を十数年追ったデータが積み上がっています。
そしてそのデータから繰り返し出てくる結果がひとつあります。デカフェでも効果がほぼ同じだということ。 カフェインが主役ではないかもしれない、という意味です。
主な効果
- 中程度の根拠
2型糖尿病のリスクが低かった — デカフェも同様に
[1]前向き研究30件、参加者1,185,210人、新規発症の糖尿病53,018件をまとめたメタ分析です。最も多く飲む集団(中央値1日5杯)は飲まない集団よりリスクが 29%低いものでした(相対危険0.71、95% CI 0.67〜0.76)。1日1杯増えるごとに6%ずつ低下しました(0.94、0.93〜0.95)。
決定的なのはここです。デカフェもほぼ同じでした(1杯あたり0.94、0.90〜0.98)。カフェイン入りは0.93でした。
カフェインが理由なら、デカフェでは効果が消えるはずです。そうならないということは、クロロゲン酸のような別の成分が関わっているか、コーヒーを飲む人の他の特性が混じっている という意味になります。観察研究なので因果とは断定できません。
- 中程度の根拠
肝線維化と肝硬変のリスクが低かった
[2]研究16件をまとめた分析で、コーヒーを飲む人は 肝硬変のリスクが39%低いものでした(オッズ比0.61、95% CI 0.45〜0.84)。多く飲む側は0.53(0.42〜0.68)とさらに低く、進行した肝線維化も0.73(0.58〜0.92)でした。
アルコール性肝疾患とC型肝炎の患者を別に分析したときも同じ方向 でした。肝疾患のリスク因子をすでに抱えた人でも関係が保たれる点が、この結果を少しだけ堅くしています。
ただしこれは、酒をコーヒーで相殺できるという意味では決してありません。
- 中程度の根拠
多くの疾患をまとめて見た検討でも方向は同じ
[3]メタ分析112件、アウトカム59項目を検討したアンブレラレビューです。コーヒーは 乳がん・大腸がん・子宮体がん・前立腺がん、心血管疾患と死亡率、パーキンソン病、2型糖尿病で「ありうる」リスク低下 と結びつきました。
同じレビューは反対側も記しています。ランダム化試験をまとめた分析では、カフェインは血圧を上げ、コーヒーは血中脂質を上げました(ただし研究間のばらつきが大きいものでした)。カフェイン単独では 流産リスクの上昇 とも結びついています。
著者らの結論は「コーヒーは健康的な食事の一部になりうる」。治療薬ではなく 害のない習慣 という位置づけです。
- 栄養データ
1杯にカフェイン96mg、エネルギーは2kcal
ドリップコーヒー1杯(240ml)にカフェインがおよそ96mgです。成人の一般的な上限とされる1日400mgは 4杯強 にあたります。
ただしこの数値は大きく振れます。エスプレッソ1ショットは60〜80mg、コールドブリューは抽出時間が長くより高くなることがあります。そして シロップとミルクを入れた瞬間に「2kcal」という数字は消えます。
上手な食べ方
- ペーパーフィルターを使いましょう。 フレンチプレス・モカポット・トルコ式のように濾さない方式は カフェストール という成分がそのまま入り、LDLコレステロールを上げます。ペーパーフィルターがこれを捕らえます。コレステロールが気になるなら、この一点が最も実質的な違いです。
- 食後1時間は避けてください。 コーヒーのポリフェノールが植物性の鉄(非ヘム鉄)の吸収を妨げます。菜食や貧血の管理中なら意味があります。
- 就寝の8時間前まで。 カフェインの半減期は人によって3〜7時間です。午後3時の1杯が夜11時に半分近く残っていることもあります。
- 効果が目的ならデカフェでも同じです。 糖尿病の研究では差がほとんどありませんでした。
- 豆は挽いておくと香りが早く飛びます。飲む直前に挽くほうがよいでしょう。
評価の読み方
効果ごとに、ヒトを対象とした研究がどこまで裏づけているかを4段階で示します。同じ食材でも項目によって評価は変わります。
- 栄養データ
- 食品成分表や保健機関の資料で確認できる事実です。臨床研究で検証する効能とは性格が異なります。
- 強い根拠
- 複数のランダム化比較試験やメタ分析で一貫して確認されています。
- 中程度の根拠
- ヒト研究はありますが、効果が小さいか結果が割れています。
- 初期の研究
- 細胞・動物研究、または小規模な予備研究の段階です。
- 確認されていない
- よく言われますが、ヒトを対象とした研究では確認されていません。
注意したいこと
- 妊娠中は1日200mg以下 — コーヒー2杯ほどです。カフェインは流産リスクの上昇と結びついています。茶・チョコレート・エナジードリンクのカフェインも合算してください。
- 血圧が高い場合、カフェインは一時的に血圧を上げます。習慣的に飲めばこの反応は小さくなりますが、コントロールできていない高血圧なら相談してください。
- 不整脈・不安障害・不眠がある場合、感受性は人によって大きく異なります。カフェインの代謝速度には遺伝的な差があります。
- 逆流性食道炎や胃炎があると、空腹時のコーヒーが症状を悪化させることがあります。
- 1日400mg(約4杯) が健康な成人の一般的な上限です。
お悩み別の根拠
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出典
栄養の数値と健康に関する記述が依拠しているデータベースと保健機関です。
- 1Coffee consumption and reduced risk of developing type 2 diabetes: a systematic review with meta-analysisメタ分析Carlström M, et al. Nutr Rev 2018PMID 29590460
- 2Coffee Consumption Decreases Risks for Hepatic Fibrosis and Cirrhosis: A Meta-Analysisメタ分析Liu F, et al. PLoS One 2015PMID 26556483
- 3Coffee, Caffeine, and Health Outcomes: An Umbrella Review系統的レビューGrosso G, et al. Annu Rev Nutr 2017PMID 28826374
- 4USDA FoodData Central食品成分データベース
- 5European Food Safety Authority (EFSA)保健機関
- 6Caffeine intake during pregnancy and adverse birth outcomes: a systematic review and dose-response meta-analysisメタ分析Greenwood DC, et al. Eur J Epidemiol 2014PMID 25179792
- 7PubMed学術文献



