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どんな食材か
えびはかたい殻を持つ甲殻類です。加熱すると赤くなるのは、殻のアスタキサンチンという色素がふだんはたんぱく質と結びついて青みを帯びており、熱でそのたんぱく質がほどけると本来の赤色が現れるからです。背に沿った黒い筋は内臓なので、大きいものは取り除くほうがきれいです。筋肉は加熱すると素早く縮んですぐかたくなるため、短く火を入れるのが要で、尾が内側に巻いたら火が通った合図です。甲殻類アレルギーの代表でもあります。
えびはコレステロールが高いという理由で長く敬遠されてきました。100gに211mgで、実際に高い数字です。
ところが1996年にロックフェラー大学で行われたランダム化クロスオーバー試験が、この通念に正面から取り組みました。結論は えびはLDLを上げるが、HDLをそれ以上に上げるので比率は悪化せず、中性脂肪はむしろ下がった というものでした。
現在では、食事性コレステロールそのものより飽和脂肪と食事パターン全体のほうが血中コレステロールに大きく関わるという整理になっています。えびの脂質は100gあたり1.7gしかありません。
主な効果
- 中程度の根拠
コレステロールは高いがリポたんぱくの比率は悪化しなかった
[1]脂質値が正常な人を対象としたランダム化クロスオーバー試験です。1日えび300g(食事性コレステロール590mg) を含む低脂肪食と、脂質量は同じでコレステロールが107mgだけの基準食を比べました。
えび食ではLDLが 7.1%上がりました(P=0.014)。ところがHDLは 12.1%上がりました(P=0.0001)。LDLよりHDLの上昇が大きかったため、総コレステロール/HDL比もLDL/HDL比も悪化しませんでした。
中性脂肪は 13%下がりました(P=0.004)。
同じ試験でコレステロール量をそろえた卵食(1日大きめの卵2個、581mg)はLDLが10.2%上がり、HDLは7.6%しか上がらず、比率は悪化する方向に動きました。えび食は卵食より比率も中性脂肪も良好でした。
限界ははっきりしています。 1996年の研究で、参加者は少なく、脂質値が正常な人だけを見ています。1日300gは現実的な量でもありません。それでも「えびはコレステロールのせいで危険だ」を支える根拠は、ここからは出てきません。
- 栄養データ
セレン49.5µg — 1日推奨量の90%
ゆでたえび100gに セレン49.5µg。成人1日推奨量が55µgなので、一皿で大部分を満たします。
セレンは抗酸化酵素(グルタチオンペルオキシダーゼ)と甲状腺ホルモン代謝に使われるミネラルです。土壌のセレン量によって地域差が大きい栄養素ですが、海産物はその影響を受けにくい。
ビタミンB12も1.66µgで、1日推奨量(2.4µg)の69%。コリンは135mgです。
ただしセレンは過剰だと毒性があります。上限は1日400µgで、サプリメントが重なるときに問題になります。食品だけで超えるのは難しい量です。
- 栄養データ
119kcalにたんぱく質22.8g
ゆでたえび100gは 119kcal、たんぱく質22.8g、脂質1.7g です。
鶏むね肉(165kcal、たんぱく質31g)よりエネルギーが低く、同じ魚介の鮭(208kcal)の半分強です。
ただし 調理法がこの数値を簡単にひっくり返します。 衣をつけて揚げれば100gあたりのエネルギーは2倍以上になり、脂質も一緒に上がります。上の数字はゆで・焼きのえびを基準にしています。
上手な食べ方
- ゆでる・焼く・蒸す。 揚げ物になった瞬間、上の構成は意味を失います。
- 加熱しすぎないこと。 えびのたんぱく質は早く縮んで固くなります。体が「C」の字なら適切、「O」の字なら行き過ぎです。
- 殻は出汁にするとうま味が出ます。 ただしカルシウムを得る方法ではありません。
- 冷凍えびは冷蔵庫でゆっくり解凍を。 常温や流水で急に戻すと食感が崩れます。
- 塩水処理して売られる製品が多い。 原材料にリン酸塩や食塩があればナトリウムを計算に入れてください。
評価の読み方
効果ごとに、ヒトを対象とした研究がどこまで裏づけているかを4段階で示します。同じ食材でも項目によって評価は変わります。
- 栄養データ
- 食品成分表や保健機関の資料で確認できる事実です。臨床研究で検証する効能とは性格が異なります。
- 強い根拠
- 複数のランダム化比較試験やメタ分析で一貫して確認されています。
- 中程度の根拠
- ヒト研究はありますが、効果が小さいか結果が割れています。
- 初期の研究
- 細胞・動物研究、または小規模な予備研究の段階です。
- 確認されていない
- よく言われますが、ヒトを対象とした研究では確認されていません。
注意したいこと
- 甲殻類アレルギーは多く、たいてい生涯続きます。 トロポミオシンというたんぱく質が主因で、えび・かに・ロブスターが交差反応します。アナフィラキシーを起こしえます。
- ナトリウムを確認してください。 保水のためにリン酸塩・食塩溶液で処理した製品が一般的です。USDAの該当項目は100gあたりナトリウム947mgです。
- 痛風があるなら注意。 甲殻類はプリン体の多い食品に入ります。
- 生で食べるときは産地と扱いを確認してください。 ビブリオなどの食中毒リスクがあります。肝疾患や免疫低下があれば生は避けるほうが安全です。
- 上の試験は 脂質値が正常な少人数 を見た1996年の研究です。脂質異常症で治療中なら主治医に相談してください。
お悩み別の根拠
この食材でつくる料理
出典
栄養の数値と健康に関する記述が依拠しているデータベースと保健機関です。



