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カシューナッツ

カシューナッツの効能:コレステロールは動かず、収縮期血圧だけが下がりました

無作為化試験の参加者392人をまとめたメタ分析で、総コレステロール・LDL・HDL・中性脂肪のいずれも有意な変化がありませんでした。収縮期血圧だけが3.39mmHg下がりました(95% CI −6.13〜−0.65)。ナッツならどれも同じ、ではありません。

Ingredient Health Benefits 編集部

公開 2026年9月20日更新 2026年10月12日8分で読めます

臨床専門家による個別の監修は受けていません。編集方針

カシューナッツ
目次

どんな食材か

カシューナッツはブラジル北東部原産の木の種子で、変わった付き方をします。りんごのような偽果の先に、腎臓の形をした種が外向きにぶら下がり、その種がカシューナッツです。殻にはうるしと同じ系統の刺激性の油があり、必ず加熱してから取り出す必要があるため、生のものはほとんど流通せず、市販品は一度処理されています。他のナッツよりでんぷんが多く、脂っぽさが少なくやわらかい口あたりです。

学名 Anacardium occidentale

ナッツはたいてい「コレステロールに良い」という位置に置かれます。くるみ、アーモンド、ピスタチオについては、その言い方が根拠とおおむね合っています。

カシューナッツは違いました。

2020年《Complementary Therapies in Medicine》のメタ分析は無作為化対照試験をまとめ、参加者392人のデータを合わせました。結果はこうです。

  • 総コレステロール、LDL、HDL、中性脂肪——いずれも有意な変化なし
  • 拡張期血圧——有意な変化なし
  • 収縮期血圧——3.39mmHg低下(95% CI −6.13〜−0.65、p=0.01、I²=0.0%)

これがこのページの核心です。 「ナッツはコレステロールに良い」という一般論をカシューナッツにそのまま移すと間違えます。

理由を推測させる成分の違いがあります。 カシューナッツは他のナッツより飽和脂肪の比重が高く(7.78g/100g)、炭水化物が30.2gとナッツの中では多い。ただしこれは説明であって証明ではありません。

成分そのものは優れています。 銅2.20mgは推奨量の2倍を超え、マグネシウム292mg、亜鉛5.78mgです。

主な効果

  1. 中程度の根拠

    脂質はそのまま、収縮期血圧だけ3.39mmHg——392人の結果です

    2020年《Complementary Therapies in Medicine》。PubMed、Embase、Scopus、Web of Science、Cochrane Libraryを2019年11月15日まで検索し、カシューナッツ摂取の無作為化対照試験を集めました。変量効果モデルで加重平均差(WMD)を出しています。

    参加者は392人です。

    結果です。

    • 脂質指標(総コレステロール・LDL・HDL・中性脂肪)——有意な効果なし
    • 拡張期血圧——有意な効果なし
    • 収縮期血圧——WMD −3.39mmHg(95% CI −6.13〜−0.65、p=0.01)

    収縮期血圧の結果はいくつかの点で堅い。

    • I² = 0.0%——研究間の異質性がありません。含まれた試験が互いに一貫した方向と大きさを示したということです
    • 出版バイアスが有意ではありませんでした(Egger検定)
    • 感度分析でどの研究を除いても有意性が保たれました

    −3.39mmHgがどの程度か。 信頼区間の下が−6.13、上が−0.65です。つまり6mmHgほど大きいかもしれないし、0.65mmHgしかないかもしれない。 降圧薬1錠には及びませんが、食品から出た数値としては無視できる大きさではありません。

    ただし392人です。 血圧は測定条件に敏感な指標で、392人は確信を与えるほど大きな数ではありません。著者らも結論に「might reduce(下げるかもしれない)」と記しました。

    脂質に効果がなかったことがなぜ重要か。

    ナッツ全般についての根拠はかなり良い。だから「ナッツ=コレステロール」という結びつきが自動的にできます。ところがナッツを一塊で見ると、個々のナッツの違いが消えます。

    • くるみはα-リノレン酸(植物性オメガ3)が多い
    • アーモンドは脂肪の大半が一価不飽和です
    • カシューナッツは飽和脂肪の比重が相対的に高く、炭水化物が多い

    同じナッツ売り場にあるからといって同じ食品ではありません。 カシューナッツを食べる理由はコレステロールではなく別のところにあります——銅とマグネシウム、そして血圧です。

    [1]
  2. 栄養データ

    銅2.20mg——推奨量の244%、そしてひとつかみの実際

    生のカシューナッツ100gあたり:

    • 熱量553kcal、タンパク質18.2g、脂質43.8g
    • 炭水化物30.2gのうち食物繊維3.3g
    • 銅2.20mg——推奨量(0.9mg)の244%
    • マグネシウム292mg——推奨量の70%
    • 亜鉛5.78mg、鉄6.68mg、リン593mg
    • チアミン0.423mg、セレン19.9µg
    • 飽和脂肪7.78g

    銅がこのナッツの特徴です。 2.20mgはナッツの中でも非常に高い。銅は鉄代謝、結合組織の形成、神経機能に関わり、欠乏はまれですがあります。

    ところが100gを食べる人はいません。 ひとつかみ30g(18粒ほど)に換算すると:

    100g30g(ひとつかみ)
    熱量553kcal166kcal
    脂質43.8g13.1g
    銅2.20mg0.66mg(推奨量73%)
    マグネシウム292mg88mg
    亜鉛5.78mg1.73mg
    鉄6.68mg2.0mg
    タンパク質18.2g5.5g

    ひとつかみでも銅の推奨量の73%。ナッツひとつかみが満たす栄養素としては印象的なほうです。

    166kcalも一緒に見る必要があります。 ひとつかみがご飯茶碗半分に近い。他を減らさずに足すだけなら熱量が増えます。

    炭水化物30.2gはナッツとしては多い。 アーモンド(21.6g)、くるみ(13.7g)より高い。カシューナッツが他のナッツより柔らかく甘みがあるのもそのためです。

    鉄6.68mgは非ヘム鉄で吸収率が低い。ビタミンCのある食べ物と一緒にどうぞ。

    「生カシューナッツ」は実は完全な生ではありません。 カシューの殻にはウルシ科特有の刺激性物質(アナカルド酸など)があり、市販の「raw」カシューも殻を外す過程で熱処理を経ています。 本当に加工していないカシューは市場に出ません。

  3. 確認されていない

    「ナッツはコレステロールに良い」——カシューナッツにはそのまま当てはまりません

    この項目はよくある一般化の整理です。

    ナッツについて最も広まっている文が「ナッツはコレステロールを下げる」です。この言い方に根拠がないわけではありません。複数のナッツをまとめて見た分析でLDLが下がっています。

    ところが上で見たとおり、カシューナッツだけを見ると脂質は動きませんでした。

    ここで押さえることが3つあります。

    第一に、まとめた分析は個別食品の答えではありません。 「ナッツ類」でまとめると、くるみ・アーモンドのように効果が明確なものが平均を押し上げ、そうでないものがその中に埋もれます。カシューナッツを名指しした分析の答えは「効果なし」です。

    第二に、「効果がなかった」と「効果がない」は違います。 392人は少ない数です。より大きな試験で小さな効果が現れる可能性は残っています。ただし今ある根拠では、カシューナッツがコレステロールを下げると書くことはできません。

    第三に、だからといってカシューナッツが悪い食品という意味ではありません。 収縮期血圧は下がり、銅・マグネシウム・亜鉛は充実しています。ただしコレステロールを目的に選ぶなら、くるみやアーモンドのほうが根拠に近い。

    そして市販品について1つ。 売り場のカシューナッツはたいてい塩をふって焼いたものか、蜂蜜・バターでコーティングしたものです。上の試験が使ったのはそういう製品ではありません。塩コーティング製品で血圧を期待するのは筋が通りません——ナトリウムが一緒に入ってくるからです。

    正直な要約です——カシューナッツは良い食品です。ただしその理由はコレステロールではありません。

    [1]

上手な食べ方

  • ひとつかみ(30g、18粒ほど)が基準です。 166kcalです。
  • 無塩・無糖を選んでください。 血圧を期待しながら塩コーティングを食べるのは矛盾です。
  • 他を減らして足してください。 間食にそのまま追加すると熱量だけ増えます。
  • コレステロールが目的ならくるみやアーモンドのほうが根拠に近い。
  • 鉄を狙うならビタミンCと一緒に。 非ヘム鉄で吸収率が低い。
  • 密閉して涼しい場所に。 脂質が43.8gあり酸敗が早い。長く置くなら冷蔵・冷凍してください。
  • 煎ると香りが立ちます。 乾いたフライパンに弱火で3〜4分で十分です。
  • すりつぶすとクリームになります。 浸してからすりつぶせば乳製品なしでソースが作れます。

評価の読み方

効果ごとに、ヒトを対象とした研究がどこまで裏づけているかを4段階で示します。同じ食材でも項目によって評価は変わります。

栄養データ
食品成分表や保健機関の資料で確認できる事実です。臨床研究で検証する効能とは性格が異なります。
強い根拠
複数のランダム化比較試験やメタ分析で一貫して確認されています。
中程度の根拠
ヒト研究はありますが、効果が小さいか結果が割れています。
初期の研究
細胞・動物研究、または小規模な予備研究の段階です。
確認されていない
よく言われますが、ヒトを対象とした研究では確認されていません。

確認されていない主張

注意したいこと

  • 脂質の改善効果は確認されていません。 メタ分析で総コレステロール・LDL・HDL・中性脂肪のいずれも有意な変化がありませんでした。
  • 血圧の結果は参加者392人から出たもので、著者らも「下げるかもしれない」と記しています。降圧薬の代わりにはなりません。
  • ナッツアレルギーは重篤な反応を起こしうる。カシューナッツはナッツアレルギーの中でも重症反応の報告がある部類です。
  • 100gに553kcalです。ひとつかみ30gが166kcalで、無意識に食べるとすぐ増えます。
  • 市販品はたいてい塩・糖・油が加えられた加工品です。上の成分表とは違います。
  • カシューの殻にはウルシ科特有の刺激性物質があり、完全な生カシューは流通しません。自分で採って殻を外そうとしないでください。
  • 腎疾患でリン・カリウムを制限中なら、リンが100gに593mgです。
  • 銅のサプリメントを別に摂る方は合計に注意してください。成人の上限は1日10mgです。

栄養成分

生のカシューナッツ100gあたり。ひとつかみが約30g(18粒ほど)なので、実際に食べる量は下の数字の3分の1以下です。

エネルギー
553 kcal28%
脂質
43.8 g56%
炭水化物
30.2 g11%
食物繊維
3.3 g12%
銅
2.20 mg244%
亜鉛
5.78 mg53%
鉄
6.68 mg37%
リン
593 mg47%
ビタミンB1
0.423 mg35%
セレン
19.9 µg36%

%は米国FDAの1日基準値(成人・4歳以上)に対する割合です。各国の食事摂取基準は性別・年齢で異なります。

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主な栄養素

お悩み別の根拠

この食材でつくる料理

出典

栄養の数値と健康に関する記述が依拠しているデータベースと保健機関です。

  1. 1The effects of cashew nut intake on lipid profile and blood pressure: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trialsメタ分析Jalali M, Karamizadeh M, Ferns GA, Zare M, Moosavian SP, Akbarzadeh M Complementary Therapies in Medicine 2020PMID 32444052
  2. 2USDA FoodData Central食品成分データベース
  3. 3PubMed学術文献
  4. 4NIH Office of Dietary Supplements保健機関

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