目次
どんな食材か
プルーンはすももを干したものです。すべてのすももがプルーンになるわけではなく、種を抜かずに干しても発酵しないほど糖度の高いヨーロッパ系の品種だけを使います。水分が抜けるあいだに糖が濃縮されて保存がきくからです。干すことで糖が集まるため、同じ重さで見れば生のすももより糖もエネルギーもずっと高くなります。ソルビトールという糖アルコールが多いことがこの食材の特徴で、食物繊維とともに便秘に使われる根拠はそこから来ます。
学名 Prunus domestica
プルーンは干したプラムです。便秘に良いという話は古くからあり、最近は骨のほうで話題になりました。
2022年《American Journal of Clinical Nutrition》の「The Prune Study」は、閉経後女性235人を12か月、3群に分けました——対照群、1日50g、1日100g。
面白いのは2つの用量で結末が違ったことです。
- 50g群——股関節全体の骨密度が保たれました(−0.3%)。対照群は−1.1%下がりました。
- 100g群——統計的に対照群と区別できませんでした。
多く食べたほうが効かなかった。理由は論文の中にあります。100g群の脱落率が41%でした。 対照群10%、50g群15%と比べてください。
1年間、毎日プルーンを100g食べ続けることに人は耐えられなかった。 効いた用量は、人が実際に続けられた用量でした。
主な効果
- 中程度の根拠
1日50gが12か月にわたり股関節の骨密度を保った
[1]2022年《Am J Clin Nutr》、単施設・並行群間の無作為化比較試験です。
参加者235人、閉経後女性、平均62.1 ± 5.0歳。 3群に無作為割付。
- 対照群 78人
- プルーン50g/日 79人
- プルーン100g/日 78人
6か月ごとに骨密度を測定し、骨代謝マーカーも測りました。順守率は50g群90.2 ± 1.8%、100g群87.1 ± 2.1%。
結果です。
- 股関節全体の骨密度——対照群は12か月で −1.1 ± 0.2%、50g群は−0.3 ± 0.2%で維持(群×時間の交互作用 P < 0.05)
- 100g群は対照群と統計的に区別できず(P > 0.05)
- FRAX大腿骨近位部骨折リスクスコア——対照群は6か月で悪化(9.8 ± 0.5% → 10.3 ± 0.5%、P < 0.05)、プルーン群(50g + 100g合算)は維持
3つ、はっきりさせておきます。
第一に「維持」であって「増加」ではありません。 50g群も−0.3%下がっています。下がる速度が緩んだのであって、骨が良くなったのではありません。
第二に骨折を数えていません。 FRAXは計算されたリスクスコアで、実際に折れた回数ではありません。
第三に、100g群の失敗こそがこの研究のいちばん正直な部分です。 脱落率41%(対照10%、50g群15%、P < 0.001)。1年間毎日100gは多くの人には無理でした。著者が50gを推奨用量として提案した根拠も、順守率と継続率です。
多いほうが良いのではなかった。 続けられる量が、効く量でした。
- 中程度の根拠
便秘:サイリウムと差がなかった
[2]2024年《Aliment Pharmacol Ther》、食品・飲料・食事と慢性便秘に関する初の系統的レビュー・メタ解析です。研究23件(無作為化比較試験17件)、参加者1,714人。
扱われた食品はキウイ(7件)、高ミネラル水(4件)、プルーン(2件)、ライ麦パン(2件)、マンゴー・いちじく・シリアル・オートブラン・ヨーグルト・水の補給・プルーンジュース・高繊維食・無繊維食が各1件。
結果です。
- 果物全体——サイリウムより排便回数が多い。週あたり+0.36回(0.25〜0.48、n = 232)
- その信号は主にキウイから。 キウイ単独で週+0.36回(0.24〜0.48、n = 192)
- プルーンはサイリウムと差がありませんでした。
- ライ麦パンは白パンより週+0.43回(0.03〜0.83、n = 48)
- 高ミネラル水は低ミネラル水より治療反応が高い。RR 1.47(1.20〜1.81、n = 539)
「差がなかった」を正しく読んでください。 プルーンが効かなかったという意味ではありません。標準的な繊維性下剤であるサイリウムと同程度だったという意味です。ただし試験は2件のみで、差があっても検出できなかった可能性もあります。
機序は繊維だけではありません。 プルーンには糖アルコールのソルビトールが多く、吸収が遅いため腸に水を引き込みます——浸透圧性の下剤作用です。繊維7.1gとソルビトールが一緒に働きます。
そして同じ理由でガスが溜まります。 下の注意事項を見てください。
著者の結論は抑制的です——果物とライ麦パンは便秘関連の一部の結果を改善しうるが、食品・飲料・食事に関する根拠は乏しく、さらなる無作為化試験が必要である。
- 栄養データ
カリウムとビタミンKが多く、糖も多い
干しプラム100gあたり:
- カリウム732mg——バナナ(358mg)の2倍以上
- 食物繊維7.1g——成人1日推奨量の28%
- ビタミンK 59.5µg——50%
- マグネシウム41mg、カルシウム43mg、銅0.281mg、マンガン0.299mg
- β-カロテン394µg
骨の話に戻ると、上の結果を単一の成分で説明することはできません。プルーンにはビタミンK、カリウム、ホウ素、ポリフェノールが一緒に入っていて、そのどれが働いたかをこの研究は答えていません。
そして数字のもう一方の側です。
- 熱量240kcal / 100g
- 糖類38.1g / 100g
乾燥すると水分が抜けた分だけ糖が濃縮されます。試験で使った50gなら120kcal、糖19g。 バナナ1本が105kcal、糖14gなので、それよりやや多い。
食べやすいことも問題です。5粒はひと口で消えます。数えておかないと100gはすぐです。
血糖指数は低め(約29)です。 糖が多いわりに食後血糖の上がり方が急でないのは、繊維とソルビトールのおかげです。それでも糖尿病があるなら量は決めておくほうが良い。
上手な食べ方
- 1日50g、5〜6粒。 上の試験で効果が確認され、人が1年続けられた量です。
- 分けて食べてください。 一度に5粒より、朝3粒・夜2粒のほうがお腹に優しい。
- 最初は2〜3粒から。 ソルビトールに慣れていないとガスと膨満が来ます。1週間ずつ増やしてください。
- 水と一緒に。 繊維が水を引き込むので、水が足りないとかえって便が硬くなります。
- 便秘には朝の空腹時が良いという方が多い。 胃結腸反射が働く時間帯です。
- プルーンジュースは別物です。 繊維が濾し取られ、糖が残ります。ソルビトールは残るので下剤作用はありますが、上の骨の試験は丸ごとの果実を使いました。
- ヨーグルトやオートミールに混ぜると、砂糖なしで甘みが得られます。
評価の読み方
効果ごとに、ヒトを対象とした研究がどこまで裏づけているかを4段階で示します。同じ食材でも項目によって評価は変わります。
- 栄養データ
- 食品成分表や保健機関の資料で確認できる事実です。臨床研究で検証する効能とは性格が異なります。
- 強い根拠
- 複数のランダム化比較試験やメタ分析で一貫して確認されています。
- 中程度の根拠
- ヒト研究はありますが、効果が小さいか結果が割れています。
- 初期の研究
- 細胞・動物研究、または小規模な予備研究の段階です。
- 確認されていない
- よく言われますが、ヒトを対象とした研究では確認されていません。
注意したいこと
- 糖類38.1g / 100g。 糖尿病があるなら量を決めてください。50gで糖19gです。
- ガスと腹部膨満がよくあります。ソルビトールのためです。過敏性腸症候群(IBS)があるなら特に注意——プルーンは高FODMAP食品です。
- 一度に多く食べると下痢になります。 上の試験の100g群の脱落率41%には、この問題があります。
- 腎疾患でカリウムを制限中なら、100gに732mgです。医療者に相談してください。
- ワルファリンを服用中なら、ビタミンK 59.5µg/100gを踏まえて摂取量を一定に保ってください。急に増減しないことが要点です。
- 骨粗しょう症の治療薬の代わりにはなりません。 上の試験は骨密度の低下を緩めたのであって、骨折の減少を示したのではありません。
- 上の骨の根拠は閉経後女性を対象とした単一試験です。男性や若年女性では確認されていません。
お悩み別の根拠
この食材でつくる料理
出典
栄養の数値と健康に関する記述が依拠しているデータベースと保健機関です。
- 1Prunes preserve hip bone mineral density in a 12-month randomized controlled trial in postmenopausal women: the Prune Study臨床試験De Souza MJ, et al. Am J Clin Nutr 2022PMID 35798020
- 2Systematic review and meta-analysis: Foods, drinks and diets and their effect on chronic constipation in adultsメタ分析Van Der Schoot A, et al. Aliment Pharmacol Ther 2024PMID 37905980
- 3USDA FoodData Central食品成分データベース
- 4NIH Office of Dietary Supplements保健機関
- 5European Food Safety Authority (EFSA)保健機関
- 6PubMed学術文献



