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どんな食材か
ピスタチオはウルシ科の木の種子で、マンゴーと同じ科です。西アジアと中央アジアが原産で、イラン、アメリカ、トルコが主な産地です。熟すと殻が片側から自然に開き、その割れ目があるものがよく実ったしるしです。仁が緑がかっているのは葉緑素によるもので、紫がかった薄皮はアントシアニンです。ナッツの中ではたんぱく質の割合が高めで脂質は比較的低めです。殻を割る手間があるぶん、食べる速さがおのずと落ちます。
学名 Pistacia vera
ピスタチオが緑色なのには理由があります。ルテインとゼアキサンチンです。
100gあたりで他のナッツと並べるとこうなります。
- ピスタチオ 2,900µg
- カシューナッツ 22µg
- ピーカン 17µg
- くるみ 9µg
- アーモンド 1µg
100倍ではなく、1,000倍単位の差です。ルテインとゼアキサンチンは網膜の黄斑に集まる色素で、ふつうはほうれん草やケールのような濃い葉物から入ってきます。ナッツでこの量が出るのはピスタチオだけです。
脂質についての根拠もあります。無作為化比較試験12件をまとめると、総コレステロール・中性脂肪・LDLが下がりました。ただしLDLの幅は3.82mg/dLです。 小さい。以下、そのまま書きます。
主な効果
- 中程度の根拠
LDL・総コレステロール・中性脂肪が下がった——幅は小さい
[1]2023年《Crit Rev Food Sci Nutr》の系統的レビュー・メタ解析で、無作為化比較試験12件を統合しています。
- 総コレステロール −7.48 mg/dL(95% CI −12.62〜−2.34)
- LDL −3.82 mg/dL(95% CI −5.49〜−2.16)
- 中性脂肪 −11.19 mg/dL(95% CI −14.21〜−8.17)
- HDL 2.45 mg/dL(95% CI −2.44〜7.33)——変化なし
最も動いたのは中性脂肪です。 11.19mg/dLは3項目で最大の幅で、信頼区間も最も狭い。
LDLの3.82mg/dLを感覚に置き換えます。 スタチンはLDLを30〜50%下げます。130mg/dLの人なら40〜65mg/dL下がる計算です。ピスタチオの3.82mg/dLはその10分の1にも届きません。
HDLが変わらなかったことも記録しておきます。 「善玉コレステロールを上げる」という話はナッツによく付きますが、この解析では信頼区間が0をまたいでいます。
著者も慎重です——ピスタチオの摂取は成人の脂質プロファイル(TC、LDL-C、TG)を改善しうるし、心血管代謝疾患に保護的かもしれないが、より大きな標本での確認が必要である。
この幅をどう見るか。 ひとつの食品がLDLを4mg/dL下げても、それ自体が治療にはなりません。食事全体の中で他のものの代わりになるときに意味が出ます——スナック菓子ひと袋の代わりのひとつかみ、という形です。
- 栄養データ
ルテインとゼアキサンチンがナッツの中で桁違い
100gあたりルテイン + ゼアキサンチン2,900µg。 USDAの数値で他のナッツと比べると:
- ピスタチオ 2,900µg
- カシューナッツ 22µg
- ピーカン 17µg
- くるみ 9µg
- アーモンド 1µg
これらは網膜の黄斑に選択的に集まるカロテノイドです。体内で作れないので、食べ物からしか入りません。
ただしここで線を引く必要があります。 当サイトのとうもろこしのページに書いたとおり、AREDS2試験ではルテイン・ゼアキサンチンの補充は主解析で加齢黄斑変性の進行を有意に遅らせませんでした(HR 0.90、P = .12)。β-カロテンをルテインに置き換えるほうが安全だという結論は出ましたが、ルテインをより多く摂ること自体が視力を守るという根拠は、その試験からは出ていません。
なのでこの項目は「成分表の事実」として置きます。 ピスタチオにルテインが多いことは測定された事実であり、それが目に何をするかは別の問いです。
β-カロテンも305µgあります。ナッツでは珍しいことです。
- 栄養データ
ビタミンB6とカリウムがナッツ中で最多
100gあたり、他のナッツと比べて2つが際立ちます。
ビタミンB6が1.7mg——成人1日推奨量の100%を超えます。
- ピスタチオ 1.7mg
- くるみ 0.537mg
- カシューナッツ 0.417mg
- ピーカン 0.21mg
- アーモンド 0.137mg
カリウム1,020mgもナッツ中で最も高い(アーモンド733mg、カシューナッツ660mg、くるみ441mg)。バナナ100gが358mgなので3倍近い。
そのほか100gあたり:
- たんぱく質20.2g——ナッツの中では上位
- 食物繊維10.6g——1日推奨量の42%
- 銅1.3mg、マンガン1.2mg、リン490mg、マグネシウム121mg
- ビタミンB1 0.87mg——推奨量の73%
- 脂質45.3gのうち飽和は5.91gだけで、一価不飽和23.3g、多価不飽和14.4g
熱量は560kcal / 100g。 ひとつかみ(30g)で168kcal——ご飯半膳より少し多い。ナッツの利点は、たいてい「他の何かの代わり」のときに出ます。
上手な食べ方
- 1日ひとつかみ(30g)、約49粒。 上の試験が使った量の範囲内で、熱量としても収まる線です。
- 殻付きを選んでください。 むきながら食べると速度が落ち、残った殻がどれだけ食べたかを示してくれます。
- 無塩・無糖で。 塩味の製品は100gあたり数百mgのナトリウムが付きます。
- 生でも焙煎でも脂質への効果は同程度です。 ただし高温で長く焙煎すると不飽和脂肪が酸化します。
- 密閉して冷蔵・冷凍で保存を。 脂質が多く、常温では酸敗が早い。古い匂いがしたら捨ててください。
- サラダやヨーグルトに砕いてのせると、脂質と一緒に摂ることになり、野菜のカロテノイドの吸収も上がります。
- 殻が開いていない粒は未熟です。無理に開けないでください。
評価の読み方
効果ごとに、ヒトを対象とした研究がどこまで裏づけているかを4段階で示します。同じ食材でも項目によって評価は変わります。
- 栄養データ
- 食品成分表や保健機関の資料で確認できる事実です。臨床研究で検証する効能とは性格が異なります。
- 強い根拠
- 複数のランダム化比較試験やメタ分析で一貫して確認されています。
- 中程度の根拠
- ヒト研究はありますが、効果が小さいか結果が割れています。
- 初期の研究
- 細胞・動物研究、または小規模な予備研究の段階です。
- 確認されていない
- よく言われますが、ヒトを対象とした研究では確認されていません。
注意したいこと
- ナッツアレルギーがあるなら避けてください。ピスタチオはカシューナッツと交差反応が多い(同じウルシ科です)。
- 熱量が高い。 560kcal / 100g。ひとつかみと決めておかないとすぐ超えます。
- 腎疾患でカリウム・リンを制限中なら、100gにカリウム1,020mg、リン490mgです。医療者に相談してください。
- 塩味製品のナトリウムを確認してください。原材料に食塩があるかを見ます。
- アフラトキシン——カビ毒の管理が重要な品目です。色が変わった粒や苦い粒は吐き出して捨ててください。
- 上の脂質改善は幅が小さい。 LDL −3.82mg/dLは薬の代わりになる大きさではありません。
- ルテインが多いことは成分表の事実であり、目の健康効果が証明されたわけではありません。
お悩み別の根拠
この食材でつくる料理
出典
栄養の数値と健康に関する記述が依拠しているデータベースと保健機関です。
- 1Consumption of pistachio nuts positively affects lipid profiles: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trialsメタ分析Hadi A, et al. Crit Rev Food Sci Nutr 2023PMID 34933637
- 2USDA FoodData Central食品成分データベース
- 3NIH Office of Dietary Supplements保健機関
- 4European Food Safety Authority (EFSA)保健機関
- 5PubMed学術文献



