目次
どんな食材か
カッテージチーズは牛乳を酸で凝固させて作る、粒状の熟成しないチーズです。熟成させないため味は穏やかで、わずかな酸味があります。カードを圧搾せずそのまま残すので水分が多く、同じ重さで見ればかたいチーズよりエネルギー・脂質・ナトリウムが低く、たんぱく質の割合は高めです。ふつうはクリームを少し加えて流通します。熟成チーズと違って日もちしないので、開封後は早めに食べます。
カッテージチーズは熱量あたりのたんぱく質が食品の中でも最上位です。100gにたんぱく質12.4g、熱量は72kcal。100kcalあたりに直すとたんぱく質17gで、鶏むね肉と競う水準です。
ところが「チーズだからカルシウム」はここでは通りません。
- チェダーチーズ カルシウム707mg
- カッテージチーズ カルシウム61mg
11分の1です。 作り方が違うためです。チェダーは凝乳酵素で固めるためカルシウムがカードに残りますが、カッテージチーズは酸で凝固させ、カードを水で洗います。 その過程でカルシウムがホエイと一緒に抜けます。
このページはカッテージチーズをたんぱく質食品としてのみ扱います。それがこのチーズの得意なことで、カルシウムはそうではありません。
そしてナトリウムが100gに406mg。 下でこの数字がなぜ重要かを書きます。
主な効果
- 中程度の根拠
就寝前のたんぱく質:40gは効き、20gは効かなかった
[1]カッテージチーズが「就寝前のたんぱく質」として売られる根拠はカゼインです。乳たんぱく質のうち消化がゆっくりな側で、カッテージチーズのたんぱく質はその大半がカゼインです。
2017年《Journal of Nutrition》の無作為化・二重盲検・並行群間試験。平均72 ± 1歳の男性48人を4群に分け、就寝前に摂らせました。
- カゼイン40g(PRO40)
- カゼイン20g(PRO20)
- カゼイン20g + ロイシン1.5g(PRO20+LEU)
- プラセボ
標識アミノ酸で夜間の筋原線維たんぱく質合成率を測定。
- プラセボ0.033%/時
- PRO20 0.037%/時
- PRO20+LEU 0.039%/時
- PRO40 0.044%/時
プラセボより有意に高かったのはPRO40だけでした(P = 0.02)。
20gでは測定できる変化がありませんでした。 ロイシンを1.5g足しても同じです。摂取したたんぱく質由来のアミノ酸が筋たんぱく質に取り込まれた量も、PRO40はPRO20のほぼ2倍でした(0.033対0.019 MPE、P < 0.001)。
ここに2つ付け加える必要があります。
第一に、2つ目のトレーサーでは有意になりませんでした。 同じ試験でロイシン標識から計算するとプラセボ0.047、PRO40 0.058で、P = 0.08。同じ実験の2つの測定法が違う答えを出したということです。
第二に、利益相反です。 責任著者らはFrieslandCampina、Nutricia Research、PepsiCoから研究費・コンサルティング料・講演料を受けたと公開し、論文は 「産業パートナーが定期的な議論を通じてプロジェクトに貢献した」と記しています。結果が無効という意味ではなく、知って読むべきだという意味です。
そして40gが何を意味するか計算してみてください。 カッテージチーズでたんぱく質40gを満たすには約320gが必要です。1カップ半を超えます。
- 中程度の根拠
就寝前のカゼインは睡眠を良くしなかった
[2]「就寝前のカゼイン」には睡眠への期待も付いています。 そちらを見た試験があります。
2026年《International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism》。筋力トレーニングをしている人を対象に、運動後の就寝前にホエイたんぱく質、カゼイン、または熱量を揃えた対照を摂らせ、睡眠の質を比べました。
結果は論文の題名にそのままあります——「就寝前のホエイは睡眠の質を改善したが、カゼインは改善しなかった」。
カゼインのほうではなかった、という点がこのページに必要な部分です。 カッテージチーズが含むのはカゼインです。
この結果を過大に読まないでください。 筋力トレーニング経験者を対象とした単一試験で、測っているのは自己申告による睡眠の質です。カゼインが睡眠を悪くしたというわけでもありません——対照と差がなかった、ということです。
まとめると——就寝前のカッテージチーズに期待できるのは夜間の筋たんぱく質合成までで、それも十分な量を摂ったときです。よく眠れるようになるわけではありません。
- 栄養データ
熱量あたりのたんぱく質は最上位、カルシウムは最下位
低脂肪カッテージチーズ100gあたり:
- たんぱく質12.4g / 72kcal——100kcalあたりたんぱく質17g
- リン134mg、セレン9.0µg、ビタミンB12 0.63µg、ビタミンB2 0.165mg
- 脂質1.02g、コレステロール4mg
- 炭水化物2.72g——すべて乳糖です
100kcalあたり17gというのは大きな数字です。 鶏むね肉が約19g、ギリシャヨーグルトが約10g、卵が約8gです。
ところがカルシウムは61mg。
- チェダーチーズ707mg
- 牛乳100g 約120mg
- カッテージチーズ61mg
牛乳より少ない。 酸で固めてカードを洗う製法のため、カルシウムがホエイ側へ抜けます。「チーズを食べたからカルシウムは済んだ」はここでは成立しません。
ナトリウム406mgがこの食品の実質的な上限です。
上の試験のたんぱく質40gをカッテージチーズで満たすと約320gになり、こうなります。
- 熱量230kcal——問題ありません
- ナトリウム1,299mg——1日の上限2,000mgの65%
1食で1日のナトリウムの3分の2が入ります。 無塩の製品を探すか、量を分けるか、たんぱく質を他からも取るほうが良い。
乳糖が残っています。 熟成チーズと違い、カッテージチーズは乳糖が2.72gそのままあります。乳糖不耐症ならチェダーやパルミジャーノのような熟成チーズが良い。
上手な食べ方
- 無塩または減塩の製品があればそちらを。ナトリウム406mgがこの食品の最大の制約です。
- 量を分けてください。 一度に320gより、朝150g・夜150gのほうがナトリウムの負担が軽い。
- 果物やナッツと一緒に食べると酸味が和らぎ、熱量あたりの満腹感も良くなります。
- カルシウムが目的なら別のものを。 牛乳、熟成チーズ、骨ごと食べる魚のほうがずっと良い。
- 加熱すると固まります。 酸で固めたカードなので溶けにくい。料理には混ぜ込むより最後に載せるほうが良い。
- 就寝前に食べるなら、上の試験の条件はたんぱく質40g、つまり320gです。それより少なければ、その試験が示したものとは別のことをしていることになります。
- 乳糖が残っているので、不耐症があるなら少量から確かめてください。
評価の読み方
効果ごとに、ヒトを対象とした研究がどこまで裏づけているかを4段階で示します。同じ食材でも項目によって評価は変わります。
- 栄養データ
- 食品成分表や保健機関の資料で確認できる事実です。臨床研究で検証する効能とは性格が異なります。
- 強い根拠
- 複数のランダム化比較試験やメタ分析で一貫して確認されています。
- 中程度の根拠
- ヒト研究はありますが、効果が小さいか結果が割れています。
- 初期の研究
- 細胞・動物研究、または小規模な予備研究の段階です。
- 確認されていない
- よく言われますが、ヒトを対象とした研究では確認されていません。
注意したいこと
- ナトリウム406mg / 100g。 高血圧がある方やナトリウムを減らしている方には、見た目より塩辛い食品です。
- カルシウム源ではありません。 61mgで牛乳より少ない。
- 乳糖が残っています。 熟成チーズと違い、乳糖不耐症の人には負担になり得ます。
- 牛乳アレルギーがあるなら食べられません。
- 腎疾患でリン・たんぱく質を制限中なら、100gにリン134mg、たんぱく質12.4gです。医療者に相談してください。
- 上の根拠2編はいずれも規模が小さい。 1つ目は男性48人、2つ目は筋力トレーニング経験者を対象とした単一試験です。
- 1つ目の試験は乳業界からの研究費と「定期的な議論」を公開しています。 無視する理由にはなりませんが、知って読む理由にはなります。
お悩み別の根拠
この食材でつくる料理
出典
栄養の数値と健康に関する記述が依拠しているデータベースと保健機関です。
- 1Protein Ingestion before Sleep Increases Overnight Muscle Protein Synthesis Rates in Healthy Older Men: A Randomized Controlled Trial臨床試験Kouw IW, et al. J Nutr 2017PMID 28855419
- 2Presleep Whey but Not Casein Protein Ingestion Improves Sleep Quality After Resistance Exercise When Compared With an Isocaloric Control in Resistance Trained Individuals臨床試験Aussieker T, et al. Int J Sport Nutr Exerc Metab 2026PMID 42413910
- 3USDA FoodData Central食品成分データベース
- 4NIH Office of Dietary Supplements保健機関
- 5European Food Safety Authority (EFSA)保健機関
- 6PubMed学術文献



