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どんな食材か
いわしはニシン科の小さな青魚で、群れをなして泳ぎます。地中海や大西洋、太平洋に広く分布します。骨が細くやわらかく、缶詰のように加圧して火を通したものは骨ごと食べられます。このサイトの成分表でカルシウムが高く出る理由がそこにあります。身だけをほぐして食べればその数値にはなりません。脂が多く酸化が早く、ヒスタミンの問題もさばと同じようにあるため、鮮度の管理が大切です。
学名 Sardina pilchardus
いわしが特異なのは 骨を取らずに食べる という点にあります。
缶詰の工程で骨がやわらかく煮えて、そのまま噛めます。だからカルシウムが100gに 382mg — 牛乳(113mg)の3倍を超えます。魚からこういう数字が出るのは、身ではなく骨のおかげです。
そしていわしは 食物連鎖の下のほう にいます。まぐろのように小魚を食べ続けて水銀を蓄積する時間がありません。オメガ3とビタミンDを得ながら水銀の心配は減らせる、珍しい組み合わせです。
主な効果
- 栄養データ
カルシウム382mg — 骨を食べているから
100gに カルシウムが382mg。牛乳1杯(約206g)の233mgを上回り、重さあたりでは3倍以上です。
この値は 身ではなく骨から来ます。 骨を取り除けば消える数字なので、缶詰を食べるとき骨をよけないでください。加圧調理でやわらかくなっており、噛むのに支障はありません。
ただし、カルシウムを多く摂ることと骨が丈夫になることは別の話です。無作為研究と観察研究をまとめたBMJの分析では、食事性カルシウムを増やしても 骨密度の増加は1〜2%にとどまり、骨折の減少にはつながりませんでした。 カルシウムは足りなければ問題ですが、すでに十分な人が追加で得るものは小さいのです。
- 中程度の根拠
オメガ3 0.98gとビタミンD 4.8µgを併せ持つ
[1]EPAとDHAを合わせて 100gに0.98g — さけ(2.6g)より少ないものの、ツナ缶(0.22g)の4倍を超えます。
ビタミンDは 4.8µg で、食品としては上位です。ビタミンDを含む食品自体が少なく、さけ・さば・卵を除けばリストはすぐ尽きます。
ただしオメガ3への期待は根拠より先を行っています。無作為研究86件(162,796人)を検討したコクランレビューで、補充は中性脂肪を約15%下げた一方、総死亡率と心血管イベントには事実上の差がありませんでした。 著者らは根拠の大半がサプリメント試験から来ており、「魚を食べること」についての根拠はほとんどないと記しています。
- 栄養データ
小さな魚は水銀が溜まりにくい
メチル水銀は食物連鎖を上がるにつれて濃縮します。大きな魚が小魚を食べ、その大きな魚をさらに大きな魚が食べる過程で溜まっていきます。
いわしはプランクトンを漉して食べる 連鎖の下のほう で、寿命も短いものです。溜まる時間がありません。だから欧州や米国の勧告で、いわし・かたくちいわし・さばのような小魚は 妊娠中でも比較的自由に勧められる側 に入ります。
たんぱく質も100gに24.6gと高く、ビタミンB12が8.9µg。セレン52.7µgは1日基準(55µg)に近い値です。
上手な食べ方
- 骨をよけないでください。 カルシウム382mgの大半は骨にあります。缶詰の工程でやわらかくなっており、そのまま噛めます。
- 油を切りましょう。 漬かっている油はたいていひまわり油や大豆油で、いわし自身の脂ではありません。エネルギーだけが増えます。
- レモンや酢を添えると 生臭さが和らぎ、ビタミンCが一緒に入ることで他の食材の鉄の吸収も助かります。
- パンやじゃがいもにのせて潰すと 骨がよく混ざります。トマトとも相性がよいものです。
- 水煮もトマトソース漬けもどちらでも構いません。ソース漬けはナトリウムと糖を一度確認してください。
評価の読み方
効果ごとに、ヒトを対象とした研究がどこまで裏づけているかを4段階で示します。同じ食材でも項目によって評価は変わります。
- 栄養データ
- 食品成分表や保健機関の資料で確認できる事実です。臨床研究で検証する効能とは性格が異なります。
- 強い根拠
- 複数のランダム化比較試験やメタ分析で一貫して確認されています。
- 中程度の根拠
- ヒト研究はありますが、効果が小さいか結果が割れています。
- 初期の研究
- 細胞・動物研究、または小規模な予備研究の段階です。
- 確認されていない
- よく言われますが、ヒトを対象とした研究では確認されていません。
注意したいこと
- ナトリウムが100gに307mg。缶詰の魚はおおむね塩が付いてきます。減塩中なら食塩無添加の製品を探してください。
- 痛風がある場合は注意が必要です。 いわしやかたくちいわしのように丸ごと食べる小魚は プリン体がとくに多い 食品に分類されます。尿酸が高いなら量を減らすか避けてください。
- 腎疾患でリンを制限中なら、100gあたり490mgと高めです。
- 魚アレルギーがあれば避けてください。
- ヒスタミンに敏感な方は、保存が不十分だった青魚の缶詰で反応が出ることがあります。
この食材でつくる料理
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出典
栄養の数値と健康に関する記述が依拠しているデータベースと保健機関です。
- 1Omega-3 fatty acids for the primary and secondary prevention of cardiovascular diseaseメタ分析Abdelhamid AS, et al. Cochrane Database Syst Rev 2020PMID 32114706
- 2USDA FoodData Central食品成分データベース
- 3NIH Office of Dietary Supplements保健機関
- 4European Food Safety Authority (EFSA)保健機関
- 5Calcium intake and bone mineral density: systematic review and meta-analysisメタ分析Tai V, et al. BMJ 2015PMID 26420598
- 6PubMed学術文献



