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どんな食材か
キヌアはヒユ科の一年草の種子です。イネ科ではないので穀物ではなく擬穀物にあたり、ビーツやほうれんそうと同じ科です。南アメリカのアンデス高地が原産で、インカで長く栽培されてきました。表面にサポニンという苦み成分が付いているため、水が澄むまで洗わないと苦みが残ります。市販品はほとんど洗浄済みですが、もう一度すすぐほうが無難です。火を通すと胚芽が輪のように外れ、ぷちぷちした食感になります。
学名 Chenopodium quinoa
キヌアを説明する言葉でいちばん多く使われるのが 「完全たんぱく質」 です。穀物には珍しく必須アミノ酸九種をすべて不足のない比率で持つという意味で、これは事実です。 穀物の弱点であるリジンがキヌアには十分あります。
問題はその次です。完全かどうかと、十分かどうかは別の問いです。
炊いたキヌア100gのたんぱく質は 4.4g。茶碗1杯(150g)で6.6g。同じ重さの鶏むね肉が31g、豆腐が8gです。
つまりキヌアのアミノ酸 組成 はよいけれど、量 はおかず一品にも届きません。「キヌアを食べたからたんぱく質は足りた」という計算が、このページの正そうとしているものです。
キヌアを食べる理由は別にあります — マグネシウムと葉酸、そして白米を置き換えたときの食物繊維です。
主な効果
- 栄養データ
完全たんぱく質は正しい — ただし量が少ない
穀物の多くは リジン が足りません。だから穀物だけではアミノ酸のバランスが取れず、伝統的に豆と穀物を組み合わせる食文化が生まれました(ごはんと豆、トルティーヤと豆)。
キヌアはリジンが十分でその補完を要しません。「完全たんぱく質」とはこの意味です。
しかし量を見るとこうなります。
食品(炊いた100g) たんぱく質 鶏むね肉 31 g 豆腐 8 g キヌア 4.4 g 玄米ごはん 2.6 g 白米ごはん 2.7 g キヌアはごはんよりたんぱく質が1.7g多い穀物 です。それ以上に読んではいけません。
菜食の方にはこの差に意味があります。1日にごはん3杯をキヌアに替えればたんぱく質が約12g増え、質も上がります。ただしそれだけで足りるという意味ではありません。 豆・豆腐・卵は依然として必要です。
- 栄養データ
マグネシウムと葉酸が穀物のなかで高い
炊いたキヌア100gに マグネシウム64mg。白米ごはん(12mg)の5倍で、茶碗1杯なら96mgと成人推奨量(男性350〜400mg)の4分の1です。
マグネシウムは不足しやすいミネラルで、血圧についての根拠もあります。
葉酸は42µg と穀物のなかでは高いほう。茶碗1杯で63µg、成人推奨量(400µg)の16%です。乾燥キヌアでは184µgですが、炊く過程で水に溶け出し半分以下に減ります — 葉酸は水溶性で熱に弱い。
ほかにリン152mg、鉄1.49mg、マンガン0.631mg、食物繊維2.8g。
食物繊維2.8g は白米ごはん(0.3g)の9倍ですが、玄米ごはん(1.6g)と比べれば1.7倍。キヌアが特別に多いのではなく、白米が特別に少ない のです。
- 確認されていない
血糖と体重についての主張は確立していない
キヌアが血糖を下げ体重を減らすという話が多い。人を対象にした試験はあるものの規模が小さく結果が一貫しません。
GIが白米より低いのは事実で、食物繊維とたんぱく質が多いのだから当然です。ただし GIが低いことと、長期的に血糖管理がよくなることは別の主張 であり、後者を支える大規模試験はありません。
体重も同じです。キヌアは100gで120kcal と 白米ごはん(130kcal)とほぼ同じ。 白米をキヌアに替えて痩せたとすれば、熱量ではなく満腹感や食事全体の変化による可能性が高い。
「スーパーフード」という言葉がキヌアにいちばん多く付きましたが、確認されているのは成分表の水準までです。 よい穀物であり、それ以上はまだ根拠がありません。
上手な食べ方
- 必ずすすぐこと。 表面のサポニンが苦味を出し胃腸を刺激します。ざるに入れて水が澄むまでこすり洗いを。「サポニン除去済」と書かれていても一度すすぐほうがよい。
- 水はキヌアの2倍。 沸いたら火を弱めて15分、火を止めて5分蒸らす。
- ごはんに混ぜて炊くと 抵抗が少ない。最初は米3にキヌア1くらいから。
- 葉酸を守るなら水を少なく。 たっぷりの湯でゆでこぼすと水溶性ビタミンも一緒に出ていきます。
- 冷ましてサラダに すれば食感が生き、冷める間にレジスタントスターチが少し増えます。
- 乾いた状態で炒ると香ばしくなる。すすいで水気を切り、フライパンで2〜3分。
評価の読み方
効果ごとに、ヒトを対象とした研究がどこまで裏づけているかを4段階で示します。同じ食材でも項目によって評価は変わります。
- 栄養データ
- 食品成分表や保健機関の資料で確認できる事実です。臨床研究で検証する効能とは性格が異なります。
- 強い根拠
- 複数のランダム化比較試験やメタ分析で一貫して確認されています。
- 中程度の根拠
- ヒト研究はありますが、効果が小さいか結果が割れています。
- 初期の研究
- 細胞・動物研究、または小規模な予備研究の段階です。
- 確認されていない
- よく言われますが、ヒトを対象とした研究では確認されていません。
注意したいこと
- 「キヌア=たんぱく質」で計算しないこと。 茶碗1杯で6.6gです。たんぱく質は別に確保を。
- すすがないと苦い。 サポニンは少量なら有害ではないものの、味と胃腸に影響します。
- シュウ酸が比較的多い。 シュウ酸カルシウム結石の既往があれば量に注意を。
- 熱量は白米とほぼ同じ。 100gで120kcal。たくさん食べればごはんをたくさん食べるのと同じです。
- グルテンは含まないものの 製造過程で小麦と混ざることがあります。セリアック病があるなら認証製品を。
- 値段が高い。同じ金額なら玄米と豆を合わせるほうが栄養効率がよい場合もあります。
お悩み別の根拠
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出典
栄養の数値と健康に関する記述が依拠しているデータベースと保健機関です。



