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どんな食材か
ココアはカカオの実の中の種子を発酵・乾燥・焙煎し、脂肪の一部を取り除いて挽いた粉です。カカオの木は中南米が原産です。同じ種子から来ますがチョコレートとは別物です。チョコレートはカカオマスにココアバターと砂糖を加えて固めたもので、ココアパウダーはむしろその脂肪を抜いたほうです。そのため粉自体には甘みがまったくなく、苦みと渋みだけがあります。アルカリ処理をしたダッチココアは色が濃く酸味が穏やかです。
学名 Theobroma cacao
ココアと血圧は、コクランが2度も更新した主題です。2017年版は無作為化比較試験35件、参加者1,804人をまとめました。
全体の結果はこうです。
- 収縮期血圧 −1.76mmHg(95% CI −3.09〜−0.43)
- 拡張期血圧 −1.76mmHg(95% CI −2.57〜−0.94)
ところが分けて見ると話が変わります。
- 高血圧の人——収縮期が4mmHg下がった
- 高血圧前段階——下がる傾向はあった
- 血圧が正常な人——有意な差なし(23の比較、1,063人)
そして著者自身が書いた一行があります。研究の後援業界に雇用された著者が参加した試験を除いて計算し直すと、効果が小さくなりました——「ある程度の報告バイアスを示唆する」というのが彼らの表現です。
そのためエビデンスの質は 「高い」から「中等度」に下げられました。
主な効果
- 中程度の根拠
血圧は下がった——もともと高かった人で
[1]2017年《Cochrane Database of Systematic Reviews》。2012年版に試験17件を加え、計35件(治療比較40件)、1,804人になりました。期間は2週から18週(平均9週)です。
試験で使われた量はフラバノール30〜1,218mg(平均670mg)、ココア製品として1日1.4〜105gでした。
全体
- 収縮期 −1.76mmHg(95% CI −3.09〜−0.43)、P = 0.009、40比較・1,804人
- 拡張期 −1.76mmHg(95% CI −2.57〜−0.94)、P < 0.001、39比較・1,772人
ベースライン血圧で分けた結果
- 高血圧 −4mmHg(9比較、401人)
- 高血圧前段階——下がる傾向
- 正常血圧——有意差なし(23比較、1,063人)
ただしこのサブグループ解析も慎重に読む必要があります。 サブグループ間の差の検定はP = 0.08と境界域で、異質性も大きかった(I² = 60%)。著者も「確認にはさらなる研究が必要」と書いています。
同じレビューにさらに2つの警告があります。
第一に、盲検化されていない試験で効果が大きい傾向がありました。 統計的に有意ではないものの、著者は参加者の期待が血圧の結果に影響するかを調べる必要があると書いています。血圧は期待に反応する指標です。
第二に、利益相反です。 後援業界に雇用された著者が参加した試験を除いた感度分析(残り33件、1,482人)では、効果量が小さくなりました。 コクランの表現では「ある程度の報告バイアスを示唆する」。
この2つと説明のつかない異質性のため、エビデンスの質は「高い」から「中等度」に下がりました。
心血管イベントや死亡を見た長期試験はありません。 確かめられた範囲は血圧という中間指標までです。
- 栄養データ
栄養密度はすごいが、食べる量は10g
無糖ココアパウダー100gで見ると数字は驚くほどです。
- マグネシウム499mg——成人1日推奨量の119%
- 食物繊維37.0g——148%
- 鉄13.9mg——174%
- 銅3.79mg、マンガン3.84mg、亜鉛6.81mg
- カリウム1,520mg、リン734mg
- たんぱく質19.6g、糖類1.75g
ところが100gを食べる人はいません。 1杯に大さじ1〜2、5〜10gです。すると:
- マグネシウム25〜50mg(推奨量の6〜12%)
- 食物繊維1.9〜3.7g
- 鉄0.7〜1.4mg、しかも吸収の低い非ヘム鉄
だから当サイトはココアを栄養素ランキングから外しています。 100gで並べるとココアがマグネシウム1位になりますが、事実ではあっても誤解を招きます。
カフェインとテオブロミンも同じ読み方です。 100gあたりカフェイン230mg、テオブロミン2,060mg。10gならカフェイン23mg——コーヒー1杯の4分の1以下です。テオブロミンは206mgで、犬にチョコレートが危険なのはこの成分のためです。人はずっと速く分解します。
要は無糖であることです。 純粋なココアパウダーの糖類は100gに1.75gだけ。市販の「ココアミックス」は大半が砂糖と粉乳です。
- 確認されていない
フラバノール含量は製品で200倍まで違う
実用上はこの項目がいちばん重要です。
上のコクランレビューで、活性群が受け取ったフラバノールは30mgから1,218mgまで開きました。対照群に与えられた低フラバノールのココアパウダーは6.4〜88mgでした。
同じ「ココアパウダー」に6.4mgのものと1,218mgのものがあります。 200倍近い差です。
理由は加工です。フラバノールは発酵、乾燥、焙煎、そしてアルカリ処理(ダッチプロセス)で失われます。USDAが「アルカリ処理ココア」を別の食品項目として登録しているほど違います。
だから袋に書いてあるのはココア含量であって、フラバノール含量ではありません。 上の試験の平均670mgをココアパウダーで満たせるかは、その製品がどう加工されたかに左右され、たいてい表示されていません。
ダークチョコレートで代えるなら熱量を計算してください。 試験の上限である1日105gのココア製品をチョコレートで摂れば600kcalを超えます。血圧2mmHgのために払う値段ではありません。
その他の主張——認知機能、血糖、体重、肌——には、ヒトで疾患のアウトカムを見た大規模試験がありません。有害事象はまれで、胃腸の不快と吐き気がココア群の1%、対照群の0.4%で報告されました。
上手な食べ方
- 無糖のココアパウダーを選んでください。原材料の先頭が砂糖なら、それはココア飲料ではなく砂糖飲料です。
- 1杯に大さじ1〜2(5〜10g)。 増やしても上の試験の条件に近づくわけではありません——要はフラバノールであって量ではありません。
- 少量の熱い液体で先に練ってから残りを加えると、だまになりません。
- アルカリ処理(ダッチ、dutched、alkalized)の表示を確認してください。 色が濃く苦みが少ない代わりにフラバノールが減っています。味を取るか成分を取るかの問題です。
- 鉄が目的ならビタミンCと一緒に。 ココアの鉄は非ヘム鉄で、同じカップの乳製品はむしろ吸収を下げます。
- 夜は量を見てください。 10gでカフェイン23mgと少ないですが、テオブロミンにも覚醒作用があります。
- 血圧を測っている方は、2mmHgが家庭血圧の測定誤差と重なる大きさだと覚えておいてください。
評価の読み方
効果ごとに、ヒトを対象とした研究がどこまで裏づけているかを4段階で示します。同じ食材でも項目によって評価は変わります。
- 栄養データ
- 食品成分表や保健機関の資料で確認できる事実です。臨床研究で検証する効能とは性格が異なります。
- 強い根拠
- 複数のランダム化比較試験やメタ分析で一貫して確認されています。
- 中程度の根拠
- ヒト研究はありますが、効果が小さいか結果が割れています。
- 初期の研究
- 細胞・動物研究、または小規模な予備研究の段階です。
- 確認されていない
- よく言われますが、ヒトを対象とした研究では確認されていません。
注意したいこと
- 降圧薬の代わりにはなりません。 2mmHgは薬(10mmHg以上)と比べる大きさではありません。自己判断で薬を減らさないでください。
- 血圧が正常なら期待するものはありません。 上のレビューで正常群には有意な変化がありませんでした。
- カドミウムが問題になり得ます。カカオは土壌のカドミウムを集める作物で、EUはココア製品のカドミウム上限を別に定めています。毎日多量に摂る場合の話です。
- シュウ酸が多いため、腎結石の既往があるなら量を減らすほうが良い。
- 片頭痛の誘因という報告があります。個人差が大きい。
- 犬や猫に与えないでください。 テオブロミンが100gに2,060mgで、ペットには致命的になり得ます。
- 市販のココアミックスは大半が砂糖です。上の根拠は無糖ココアについてのものです。
お悩み別の根拠
この食材でつくる料理
出典
栄養の数値と健康に関する記述が依拠しているデータベースと保健機関です。



