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どんな食材か
アスパラガスは多年草の若い芽です。春に地下の株から芽が立ち上がり、それを切って食べます。ヨーロッパと西アジアが原産です。日光を浴びて育ったものが緑色、土をかぶせて光を遮って育てたものが白色で、同じ植物です。根もとはかたいので、折れるところで折るか皮をむきます。ゆでたり焼いたりして食べ、加熱しすぎると香りと食感が一気に損なわれます。
学名 Asparagus officinalis
アスパラガスは100gに20kcal。その中に葉酸52µg(推奨量の13%)とビタミンK 41.6µg(35%)が入っています。
しかしこの野菜が有名なのは別のことです。 食べたあと尿に特有のにおいがする、というものです。
そしてそのにおいを嗅げる人と嗅げない人に分かれます。
2016年《BMJ》が6,909人のゲノムを解析しました。「アスパラガスを食べたあと、尿に強い特有のにおいを感じる」という文に強く同意すれば「嗅げる人」、そうでなければ「嗅げない人」と分けました。
- 男性の58.0%(2,500人中1,449人)
- 女性の61.5%(4,409人中2,712人)
半分以上の人がそのにおいを嗅げません。 そしてそれは注意力の問題ではなく、嗅覚受容体遺伝子の問題でした。
主な効果
- 栄養データ
葉酸とビタミンKが20kcalの中に
生のアスパラガス100gあたり、成人の1日推奨量に対して:
- ビタミンK 41.6µg——35%
- 葉酸52µg——13%
- ビタミンE 1.13mg——8%
- ビタミンB1 0.143mg——12%、ビタミンB2 0.141mg——11%
- 食物繊維2.1g、たんぱく質2.2g、カリウム202mg
- β-カロテン449µg、銅0.189mg
熱量が20kcalしかないことがこの表の前提です。 100g食べてもりんご半分の5分の1です。
ビタミンE 1.13mgは野菜の中では高いほうです。 ビタミンEはふつう油とナッツから来て、野菜には少ない。ほうれん草(2.03mg)より低く、ブロッコリー(0.78mg)より高い。
鉄2.14mgも野菜としては高い。ただし非ヘム鉄なので吸収率は2〜10%。ビタミンCのある食材と一緒に摂ると上がります。
緑と白は同じ植物です。 ホワイトアスパラガスは土を盛って日光を遮って育てたもの。クロロフィルができないので白く、その過程で一緒にできる成分も少なくなります。 上の表は緑を基準にしています。
成分は穂先のほうに寄っています。 下の茎は繊維が硬く、上の穂先にビタミンが多い。下を切り落とすのは食感のためで、栄養を捨てているわけではありません。
- 中程度の根拠
嗅げない人が60%——遺伝子が分けた
[1]2016年《BMJ》のゲノムワイド関連解析(GWAS)です。看護師健康研究と保健医療従事者追跡研究のコホートから、ゲノムデータのある欧州系アメリカ人6,909人を解析しました。
まず割合です。
- 男性の58.0%(2,500人中1,449人)が嗅げなかった
- 女性の61.5%(4,409人中2,712人)が嗅げなかった
次に遺伝子です。 約900万の一塩基多型(SNP)を検定し、871個がゲノムワイド有意水準(P < 5×10⁻⁸)に達しました。
その871個がすべて1か所にありました——1番染色体の1q44領域(248,139,851〜248,595,299)で、嗅覚受容体2(OR2)ファミリーの遺伝子が複数含まれています。
条件付き解析で互いに独立した3つのマーカーが絞られました——rs13373863、rs71538191、rs6689553。
この結果が言っていることを正確に読む必要があります。
この研究が測ったのは「嗅ぐ能力」です。 参加者が自分で答えた1文で分けました。尿にそのにおい物質が実際に出るかを測ったのではありません。
ですから「嗅げない人」という結論は鼻の側の話です——アスパラガスを食べれば大半の人でにおい物質(アスパラガス酸が分解された硫黄化合物)が出るのに、それを感じる受容体を持たない人が半分以上いる、ということです。
一集団の結果だという点も記しておきます。 欧州系アメリカ人のみが対象でした。他の祖先集団で割合が同じかは、この研究は答えていません。
著者の結論は淡々としています——相当数の人がアスパラガス嗅覚脱失を持ち、複数の嗅覚受容体遺伝子の近傍の遺伝的変異が、尿中アスパラガス代謝産物を嗅ぐ能力と関連している。
- 確認されていない
二日酔いと利尿の主張は確認されていない
アスパラガスには2つの主張がよく付きます。
「二日酔いに良い」——アスパラガス抽出物が肝細胞のアルコール代謝酵素に影響するという細胞実験が広く引用されます。ヒトで二日酔いの症状を見た無作為化試験はありません。培養皿で起きたことと、人が飲んだ翌日は別の問題です。
「利尿作用がある」——伝統的に利尿薬として使われ、アスパラギンというアミノ酸がその役だと説明されます。ヒトで尿量を測った対照試験は見つけにくい。
プリン体は実際に中程度です。 アスパラガスは痛風の案内でよく名前が挙がる野菜です。ただし植物性プリン体が動物性ほど尿酸を上げないというデータが蓄積し、近年の勧告は野菜のプリン体を以前ほど問題にしません。
まとめると——アスパラガスを食べる理由は味と、20kcalに収まったビタミンKと葉酸です。二日酔いと利尿は確認されていない領域です。
そして欧州では春の野菜です。 旬に太く硬いものはずっとおいしい。これは根拠の要らない話です。
上手な食べ方
- 下側は手で折ってください。 硬い部分と柔らかい部分の境目で自然に折れます。包丁で切るとどこまで硬いか分かりません。
- 太い茎は下側の皮をむいてください。 ピーラーで下3分の1を薄くむくだけで食感が大きく変わります。
- 強火で短く。 ゆでるなら2〜3分、焼くなら3〜4分で十分。色が鮮やかな緑に変わったときが火が通ったときです。
- 油と一緒に召し上がってください。 ビタミンK、ビタミンE、β-カロテンはすべて脂溶性です。オリーブ油で焼く調理が合います。
- ビタミンCと一緒に摂ると鉄の吸収が上がります——レモン汁をかけてください。
- ゆでるより蒸すか焼くほうが良い。 葉酸とビタミンCは水に溶けて抜けます。
- 立てて保存してください。 下を切って少し水を入れたコップに立て、冷蔵すると数日長くもちます。
評価の読み方
効果ごとに、ヒトを対象とした研究がどこまで裏づけているかを4段階で示します。同じ食材でも項目によって評価は変わります。
- 栄養データ
- 食品成分表や保健機関の資料で確認できる事実です。臨床研究で検証する効能とは性格が異なります。
- 強い根拠
- 複数のランダム化比較試験やメタ分析で一貫して確認されています。
- 中程度の根拠
- ヒト研究はありますが、効果が小さいか結果が割れています。
- 初期の研究
- 細胞・動物研究、または小規模な予備研究の段階です。
- 確認されていない
- よく言われますが、ヒトを対象とした研究では確認されていません。
注意したいこと
- ワルファリンを服用中ならビタミンKが100gに41.6µgです。やめる必要はありませんが、摂取量を一定に保ってください。
- 痛風があるならプリン体は中程度です。ただし植物性プリン体の影響は動物性より小さいというデータがあります。
- 過敏性腸症候群(IBS)があるなら、アスパラガスは高FODMAP食品です。フルクタンが多く膨満を起こすことがあります。
- 腎疾患でカリウムを制限中なら100gに202mgです。
- 尿のにおいは正常です。 健康に問題があるという合図ではありません。嗅げないのもまた正常です——半分以上がそうです。
- 二日酔いと利尿についての主張は、ヒト試験で確認されていません。
この食材でつくる料理
出典
栄養の数値と健康に関する記述が依拠しているデータベースと保健機関です。



