牛肉をめぐる議論の多くは「赤身肉」をひとくくりにすることから生じます。しかし 赤身肉と加工肉は、根拠のうえで別々に扱われます。
WHOのIARCは加工肉をグループ1の発がん性物質に、赤身肉をグループ2A(probable)に分類しています。同じ区分ではありません。以下は加工していない赤身肉を前提としています。
主な効果
ヘム鉄が貧血対策に効率的
牛肉の鉄はヘム鉄で、吸収率は15〜35%に達します。植物性の非ヘム鉄と違いシュウ酸・フィチン酸・タンニンの妨げをほとんど受けないため、鉄欠乏性貧血がある場合の実質的な供給源になります。
亜鉛とビタミンB12を同時に含む
100gで亜鉛の1日必要量の半分以上、B12は1日必要量を上回ります。どちらも植物性食品では満たしにくい栄養素です。
完全たんぱく質が筋肉の維持を助ける
100gに26g、必須アミノ酸の構成もバランスが取れています。高齢者の筋肉量減少を防ぐ食事における動物性たんぱく質の役割は、繰り返し研究されてきました。
クレアチンとカルニチンの天然供給源
筋肉の瞬発的なエネルギー供給に関わるクレアチンは、植物性食品にはほとんど含まれません。赤身肉が主要な食事由来の供給源です。
上手な食べ方
- 赤身の部位を選びましょう。 もも、ランプ、サーロインは飽和脂肪が少なめです。
- 週500g(調理後重量)まで が複数機関の赤身肉の推奨上限です。
- 直火で焦がさないこと。 高温調理でヘテロサイクリックアミンや多環芳香族炭化水素が生じます。煮る調理法ならはるかに少なくなります。
- マリネがこれらの生成を減らします。 ローズマリー、にんにく、こしょうが特に有効です。
- 野菜と一緒に食べると、食物繊維が不足する問題を補えます。
注意したいこと
- 加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコン) は赤身肉とは分けて考える必要があります。グループ1に分類されるのはこちらです。
- 飽和脂肪 が多い部位(バラ、カルビ)はLDLコレステロールに影響します。
- 痛風 がある場合はプリン体の量を考慮してください。
- 腎疾患でたんぱく質制限 中なら、摂取量は主治医と決めてください。
- 加熱不足の牛肉は感染リスクがあります。ひき肉は必ず中心まで火を通してください。
栄養成分
可食部100gあたりのおおよその値です。
- エネルギー
- 217 kcal
- たんぱく質
- 26.1 g
- 脂質
- 11.8 g
- 鉄
- 2.6 mg
- 亜鉛
- 6.3 mg
- ビタミンB12
- 2.6 µg
- セレン
- 24 µg
- ビタミンB3
- 5.4 mg
主な栄養素
- たんぱく質
- 鉄
- 亜鉛
- ビタミンB12
- セレン